先週から「下之一色の家」の現場では、既存建物の解体工事が始まりました。
建具が外され、床が捲られて、徐々にそこに生活をしていた人の痕跡が消えていきます。この建物に使われている材木も、土壁もやがて土に還ります。
その儚さがそうさせるのでしょうか。解体現場にはある種の神々しさ、美しさを感じます。
そしてこちらは「五軒家町の家」の現場です。
外壁の打放し様の型枠に使う杉板を決める為、幾つかサンプルを作ってもらいました。木目や表面の凹凸ぐあい、板の巾を変えてあります。
無機質なコンクリートの表面に移る自然の風合いが深みのある表情を生み出しますが、なにしろ天然の材料なので慎重に選ばなければ頭の中にイメージしたものと違ったものに仕上がってしまいます。
何度か現場に脚を運んで、そこに現れる建物を頭の中で繰り返し想像しながら、最良の材料を選び出さなくてはいけません。