現在、10月末竣工を目指して工事中の「N-project」が基礎工事に入りました。土に埋めた白い物体、一体何だと思いますか?実はこれ、発泡スチロールなんです。
「コロンブス工法」という地盤置換工法を採用しています。簡単に説明すると、高強度の発泡スチロール「ジオフォーム」を土中に埋設。重い土と置き換える事により、地盤に対する伝わる建物の重量を軽くするという工法です。
敷地は海が近く、固い地盤は深さ45メートル掘らないと出てこない軟弱な地盤です。液状化の恐れのある場所なので、基礎補強の方法を色々と検討しました。鉄筋コンクリート造とはいえ平屋建ての住宅を支えるために、45メートルもの長い杭を打つのはコスト的に非現実的。かといって地盤改良では液状化の影響を避けられない。
そんな時に候補に上がったのがこの「コロンブス工法」です。前述のように建物の重量を軽くできるので、軟弱な地盤でも不同沈下のおそれがなく、液状化時には地中の水を排水する事によって建物を安定させることができます。また地震動を吸収してくれるので、免震効果もあり、さらに長い杭を打つよりもコスト的なメリットもあります。
ただ採用の決め手になったのは「中越沖地震」や「能登半島地震」においての実績でした。周辺の建物が被害を被るなか、この工法を採用した建物には大きな被害が発生しなかったそうです。理論的に優れていても、現実的な効果の無い工法では意味がありませんから。
色々なメディアやCMで「免震工法」「耐震工法」が取り上げられていますが、まだまだコスト的には大きな負担となります。またそれらの機構を支える地盤がしっかりとしていなければ、身も蓋もありません。「コロンブス工法」は現実的な免震・不同沈下対策として機会があれば、今後も採用していきたい工法です。