抜けるような秋晴れの下、待庵、密庵と並ぶ国宝三名席の一つを訪ねました。織田信長の実弟、織田有楽が京都建仁寺に造った茶室「如庵」。紆余曲折を経て、現在は名鉄犬山ホテルに隣接する「有楽園」にて、大切に保存されています。普段は外観のみの公開ですが、春と秋との年2回、その内部の特別公開が行われております。
わずか2.7メートル四方の空間にちりばめられた、有楽の独創性・世界観。囲われ感の強い、濃密な空間に圧倒されつつも、その居心地の良さに心が落着きます。茶事のための特殊な建築ではあるものの、数寄屋という日本的な建築様式の源流である茶室。自ら制限を与える事により生み出される空間の美学に、いつも大きな刺激を受けます。