高速道路の休日1000円を利用して、軽井沢へ出かけてきました。もうすぐ5月だというのに、吹き付ける風の冷たさと言ったら・・・。地元の方によると、GWでも雪が舞う事があるそうです。もっと暖かい服を着て行くべきでした。
しかし、桜の花が咲く早春の軽井沢は、想像以上に素敵な所でした。これから数回に渡って、感銘を受けた建築や場所を紹介して行きたいと思います。
と言う事で、最初のネタは「アントニン・レーモンド」の設計による「夏の家」(1933年)です。レーモンドは、フランク・ロイド・ライトの事務所に勤めていた時に「帝国ホテル」の設計施工の為に来日し、そのまま日本で独立した建築家です。
「夏の家」は別荘兼アトリエとして建てた木造2階建ての建築で、もともとは別の場所に建っていたのですが、現在は「軽井沢タリアセン」に移築され、「ペイネ美術館」として使用されています。夏の間は、軽井沢でお仕事・・・羨ましい。
様々な方向を向いた軽やかな屋根からは軽快なリズムが感じられ、単純な仕上げながら抑揚のある奥行きのある外観です。夏の家を眺めながら、塩沢湖に掛かる木橋を渡り、回り込むようにしてエントランスへと至る経路は、なかなか粋な演出ですね。
下見張りの板をエンジ色にペイントしたシンプルな仕上げは、低く抑えられた高さと相まって、現代の別荘というイメージと比べると、何とも質素で清廉な雰囲気です。
内装も、板を釘で止め付けただけの素朴な仕上げ。大きな開口部から眺める美しい景色に心と体が解きほぐされ、肩ひじ張らずに軽井沢の夏を過ごしたい気分になります。
リビングの吹抜けに配置されたスロープや等は、当時としてはかなりモダンなデザインだったでしょう。平面的にも立体的にもリズミカルな空間です。しかし残念ながら、内部は写真撮影禁止。
展示されている「レイモン・ペイネ」については、何の予備知識も持たずに訪れたのですが、「愛」と「エスプリ」に満ちた作品は、見ているだけでほほ笑ましい心地になります。この建築によく似合っていると感じました。
展示方法や窓の外の簾など、もう少し気を使って欲しいとは思いましたが、軽井沢を訪れた際には必ず立ち寄っていただきたい場所です。特にカップルにはオススメ。