先日の軽井沢紀行の際、私が好きな建築家の一人「池原 義郎」の設計による「軽井沢ショッピングプラザ・ニューイースト」も何年か振りに訪ねて来ました。正面の伸びやかな曲面の大屋根が架かる建物がそれ。左側の円形の建物は「柳澤孝彦」設計のレストラン「アーティチョーク」です。
地元長野県の唐松を張った屋根の跳ね出し長さは相当なものですが、あくまでも軽やかな振る舞いで、鈍重さは感じません。まるで天の羽衣が大地に舞い降りたかの様な美しさです。屋根のカーブの美しさに加え、それぞれが異なる曲率でデザインされている事も、軽快さの演出に寄与しています。この屋根の鉄骨の制作図は、なんと2000枚を超えたそうです。
内部はテント幕を張った明るいモールとなっていますが、流石はディティールに徹底的にこだわる池原氏の設計!屋根を構成する鉄骨もあくまで存在感は薄く、光を透過するテント幕の効果を最大限に引き出しています。
軽井沢駅前に位置しているのが信じられないほど、雄大で伸びやかな自然を身体いっぱいに感じながら、ショッピングを楽しむ事ができます。一般客にとって、この建築の蘊蓄はほとんど無意味かも知れませんが、この身も心も解きほぐされる様な開放感の体験を、建築家が積み重ねたスタディの数々が黙々と支えています。