近江八幡は今から400年ほど前、豊臣秀吉の命をうけた甥の秀次が、安土の人と建物を移して開かれた商業都市です。琵琶湖と繋がる八幡堀の界隈を中心に、情緒あふれる町並みが魅力的。コンパクトながら見どころの多い街です。
そんな近江八幡にウィリアム・メレル・ヴォーリズという一人のアメリカ人が、現八幡商業高校の英語教師として来日したのは1905年のこと。キリスト教の伝道活動の傍ら、建築設計事務所を営み、各地にその作品が残されています。メンソレータムを製造している近江兄弟社を起こしたのも彼です。
1941年、日本を取り巻く世界情勢が暗転する中、帰化した彼の作品と精神が、今でも多くの人に愛されている。八幡の街を散策すると、それが良く伝わってきます。
上の写真は、ヴォーリズ設計の旧「八幡郵便局」です。洋館というよりも、アメリカ人による和洋折衷様式のよう。格子と漆喰壁と瓦屋根の町並みにこの郵便局が建てられた当時としては、とてもモダンな印象だったでしょう。現在では、レトロな雰囲気を醸し出し、しっかりと町並みに溶け込んでいます。特に印象的だったのは、トップライトから柔らかな光が降り注ぐ執務エリアです。