土曜日まで長期休暇をいただいていたのですが、実はその間にバルセロナとパリに旅行へ行っていました。新しい物から古い物まで、建築や街並みを訪ねて美味しいご飯を食べ歩く・・・素晴らしい経験をしてきました。
バルセロナは7年ぶり、パリへは実に12年ぶりの旅行でした。大ざっぱな印象としては、バルセロナは街の至る所が大きく変っていて、パリは余り変っていない、そんな感じでした。
また今度ブログで書こうかと思いますが、バルセロナでは空の玄関口である空港のターミナルビルが新しくなっていた事や、大規模な再開発があちらこちらで行われていた影響が大きいのかもしれません。
そして最初に何について書こうかと考えたのですが、やっぱりバルセロナと言えばガウディ。そしてガウディと言えばサグラダファミリア(聖家族贖罪教会)。と言う事で、ベタですがバルセロナを訪れる観光客のほぼ全ての人が訪れるであろう、この教会について書きましょう。
サグラダファミリア教会が紹介される時ぼぼ間違いなくこの「生誕の門」側のファサードの写真が用いられますが、それはこの門が世界遺産に登録されていると言う事と、その緻密かつ複雑で建築と一体化した彫刻群の魅力による所が大きいのではないでしょうか。そしてご存知の方も多い日本人彫刻家の、外尾悦郎氏が手がけたのもこの門です。余談ですが現在はもう一人、日本人彫刻家の方がここで働かれています。
そして「生誕の門」の反対側に建つのが「受難の門」。全体的に白っぽいのがお分かりでしょうか?こちらの彫刻は地元スペインの彫刻家ジョセップ・マリア・スビラクスが担当しているのですが、その抽象化されたモダンな表現の彫刻に対しては、地元でも賛否両論あるようです。外尾氏が手がけた生誕の門を、ガウディの意向を忠実に表現した彫刻と呼ぶのならば、こちらはジョセップによる新解釈の彫刻と言えるのでは無いでしょうか。個人的には生誕の門の方が好きですけどね。
手前の歩道に並ぶ入場者の列が見えるでしょうか?チケットを買って中に入るのに40分ほど掛りました。ただ建設費用は観光客が支払う入場料(現在は12ユーロ)と純粋な寄付によって賄われています。ですから微々たる額でもそれに貢献できると思えば、こんな行列たいした事でもありません。
エレベーターで塔の中央よりやや上の辺りまで登り、そこから階段を使って下りてくる事ができます。サグラダファミリア教会から眺めるバルセロナの街は、それはもう素晴らしいの一言です。ただエレベーターに乗る為には教会の中でも長い行列に並び、更に一人2.5ユーロの寄付をしなくてはいけませんが・・・
でもそんな苦労もこの眺望に報われます。階段はら旋状に塔を巡っているので街のあらゆる景色を愉しむ事ができます。上の写真はバルセロナ市街の南東部、ここ数年急激に再開発が進んだ地区です。
中央に見えるトウモロコシ型のビルは、私も好きなフランス人建築家「ジャン・ヌーベル」氏による「アグバータワー」。その先に見える高層ビル群は、私が前回バルセロナを訪れた7年前には殆ど建っていませんでした。
その間、如何にバルセロナを含むカタルーニャ州の景気が良かったかを物語っていますね。しかしバルセロナ在住の友人によると、現在こちらの30才以下の若者の失業率は50%との事。ちょっと想像もつかない数字ですが、基本的に楽天的な彼らからは悲壮感の様なものはあまり感じられません。
ただ、このサグラダファミリア教会は、こんな陽気な職人さん達によって着々と工事が進んでいます。この塔が完成する頃には、このカタルーニャの地にも明るい陽が差している事でしょう。まあスペインの人達はいつでも人生を謳歌しているでしょうけどね。
しかし、この教会の建設が始まって既に128年もの年月が経過しています。いったい、いつになったら完成するのか?そんな疑問を前出の現地在住の友人に投げ掛けてみたところ、後50年位で完成するらしい・・・との事でした。建設技術の進歩のお陰か、観光客数が伸びて寄付が増えたお陰か、当初予想されていたよりも早く完成しそうです。
ただ私が生きている間に、その完成した姿を拝めるかどうかは微妙ですね。