今や全国から数多くの応募が集まる、「日本建築家協会東海支部主催の設計競技」。今年で27回目を迎える歴史もあるイベントでもあるのですが、私は昨年に引き続き審査員として参加いたしました。とは言っても昨年は新型インフルエンザで審査会を欠席してしまったので今年はそのリベンジと言う訳なんですが・・・。
不景気の影響で前年の競技から賞金が無くなってしまったにも関わらず、今年も学生の部と社会人の部を合わせて200以上の、渾身の作品が集まりました。第26回から30回まで続くシリーズテーマは「風土をみる」。そして第27回目となる今回の課題は「屋根と床」です。要するに屋根と床を使って風土についての何かしらの回答を求めた訳ですが、その捉え方はまさしく十人十色。そこで自分なりの評価軸を定めて審査に取り組む事にしました。
上は一次審査の様子です。シーラカンスの伊藤恭行さんを審査委員長に、ゲスト審査委員として若手注目株の長谷川豪さんを迎え、さらに地元の大御所を含めた錚々たる8名のメンバーで、時に優しく時に厳しく審査いたしました。
一つの応募案を審査するのに掛けられる時間は72秒。限られた時間の中で200以上のプレゼンを読みとっていくのは、思っていたよりも骨の折れる作業でした。一次審査では各審査員がそれぞれ10づつを推挙した案から30案に絞り込み、公開審査となる2次審査へと進めたのですが、自分が選んだ案が何故残すべきものであるのか説明をしつつ議論を交わす審査は、緊張感を伴うなかなか面白いものでした。ただ一次審査はまだまだ序の口、審査員が応募者の代理となってプレゼンをするようなモノですから、案が絞られてくる2次審査以降は白熱の議論が予想されました。
大階段のあるアトリウムで行われた2次審査では、学生の部と一般の部それぞれ30案から優れた10案程度を選び出し、さらに最終選考で受賞者を決めるのですが、今回もその一部始終をを一般公開しました。プロの建築家である各審査員がどの様な視点で各案を読み取り、評価をしているのか。会場に訪れた学生さん達には良い刺激になったと思うのですが、コチラは自分が推薦した作品が残るテーブルを囲むようにして臨戦態勢。もうこの頃には腰痛が酷くて立っているのも辛かったのですが、いざ2次審査が始まると腰痛の痛みは忘れてしまって審査に熱中していました。
朝から一日掛けて建築について考え議論を交わすというのは久々で、体力はそれなりに消耗しましたが頭にとっては非常に良い栄養剤になりました。各審査員の方々の含蓄のある意見はさる事ながら、審査委員長の伊藤さんの議論の進め方の巧みさ流石でしたね。それと長谷川豪さんもなかなかの遣り手で、同年代ながら感心しました。
そして懇親会では普段なかなか会う機会のない方々と、色々な興味深い話をする事ができ非常に充実した一日になりました。もちろんアルコール分もしっかりと補給しながら・・・。