昨日、名古屋市東区にある「文化のみち撞木館」で2月6日まで開催されている、「吉村順三建築のいま」という展覧会を見に行ってきました。会場となっている撞木館は大正から昭和初期にかけ、陶器商の井元為三郎が建てた邸宅を利用した施設で、都会の只中にいる事を忘れてしまいそうな静寂の時が流れる敷地に、木造の日本家屋と洋館、そして二棟の土蔵が建っています。その歴史を感じさせる邸宅に、戦後日本の建築界に多大な影響を与えた建築家「吉村順三」の、家具や照明をはじめ、模型や図面が展示されています。
人目を惹くような派手な意匠ではないのですが、非常に丁寧な仕事が為されている日本家屋に、吉村氏のデザインした家具が見事に溶け込んでいます。見た目だけの格好をつけた様な意匠を嫌い、その家に住う人やその家具を使う人の使い勝手や心地よさを真摯に考えた、吉村氏の美学がそこはかとなく感じられます。
一部を除き、実際に椅子に腰掛ける事ができるのですが、その優しい座り心地の椅子に身を任せて庭を眺めていると、住まう事の豊かさとは何か、建築家がすべき事は何か。吉村氏が問い掛けて来ているような気がしました。
「建築は生きている-吉村順三建築のいま」←詳細情報
開催期間:平成23年1月26日(水)?2月6日(日) 10:00?17:00
場所:文化のみち撞木館(名古屋市東区橦木町2丁目18番地)