先日竣工した「竜泉寺の家」では、所々にお施主様自ら作られたモノがあります。
まずは、フロストガラスのスクリーンを支えているステンレス製の柱。あえて磨き上げずに、鈍い金属の塊感、ステンレス無垢材の質量を表現しています。一方で細長いフラットバーを柱に用い、ガラスを固定する押縁という部材の形状を工夫する事で、フロストガラスのもっている繊細さと緊張感が最大限に表れるようにデザインしました。
お次は、ドアホンを格納しているステンレスの表札柱。お施主様が鋼板を加工する事に長けたご職業でしたので、私が図面を描いて製作をお願いしました。
2ミリ厚のステンレス鋼板を曲げ加工と、YAGレーザー溶接で接合してあるのですが、狙い通りモノリシックな雰囲気が出て、深みのある質感が建物と外構に非常に上手く溶け込んでいると思います。
中庭のウッドデッキも、自家塗装です。お子様も一生懸命手伝って、塗り上げられました。プロのペンキ屋さんの仕上がりには敵わないかも知れませんが、ご自宅の新築工事の一部分でも作業を行うことで得られる愛着。これは何物にも替え難いモノだと思います。
ご主人の「まるで我が子のようだ」との言葉に、その事がよく表れています。